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工務店の木の家ってどれだけの人が関わって建てられているの?

資金計画はファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーなどと相談をしながら進めていく。土地が決まれば、その土地に建てられる家を法的な観点で確認したり、周辺環境をみる敷地調査や地盤の強度などを確認する地盤調査を行う。地盤調査後に土地の状況によって地盤改良を行うことも。

住宅営業担当者や設計士、インテリアコーディネーターと打ち合わせを重ねながらプラン作成を行う。住宅ローンの申請や土地購入の契約などの手続きも工務店の担当者などに手伝ってもらいながら各種金融機関の担当者と行っていく。

 

 

基礎工事着工前(地盤調査済み)に神主を招いての地鎮祭を執り行う。その後、基礎屋の職人たちによって基礎工事が行われ、基礎完成後に給排水管の施工や防蟻処理が行われる。

 

足場の設置後に行われる、大工がメインとなる木工事の工程。建方とは、現場で柱や梁などの建物の構造材を組み立てることで、屋根を支える棟木(むなぎ)を取りつける上棟までを5~10人の大工によって1日で行われる。棟が上がればルーフィングという屋根の防水工事を行う。

 

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大工 

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祖父と父が大工で、幼い頃から木に魅力を感じていました。いつか無垢の木を使って末永く残る家を建てたいと思い、高校卒業後に父から修業を勧められて今の会社に入社しました。社員大工でまだ見習いですが、梁や柱を見せる在来軸組という昔ながらの工法による家づくりを手がけています。現場では工期を守って安全で段取り良く作業ができるように道具を配置するなど、良い環境づくりを心がけていますが、これは現場で作業する他の職人さんやお施主様にとっても安心・安全につながる大切なこと。「こんなにきれいにやってくれてありがとうね」と温かい言葉をいただけると、より前向きに仕事に打ち込めます。今は棟梁の元で修業中ですが、将来は独立して父と一緒に大工仕事をするのが夢です。

橋本建設株式会社 久保田 真弘さん 職人歴5年(新卒)

 

 

主に棟梁による内部の木工事や断熱施工を行う。その他、各種職人がサッシの取り付けや金物取り付け(耐震のための構造材への金物補強)、外壁工事、電気配線、水道・ガスの配管工事、屋根に瓦を葺く作業などを行う。キッチン、トイレなどの設備機器の取り付けも行う。

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電気工事士 

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電気工事士だった父が体調を崩したとき、手助けができればと思って父の会社を継いでから資格を取りました。家を建てる際には工具を使うにもまず電気が必要で、電柱から電気を送るための引き込み線を設置する仮設工事、照明器具を設置する前に行う配線工事やコンセント工事などが私たちの仕事です。図面に従って天井や壁に開口しますが、私はお施主様が住んだときのことを意識しながら配線するようにしていて、経験上「ここにスイッチがあって大丈夫? こっちに付けた方が便利じゃない?」など、思ったことは設計側に伝え、実際に変更することもあります。今後もっと電気工事に携わる人が増えてほしいし、若い人たちにもどんどん入ってきてもらいたいですね。

株式会社正堂 正堂 真一さん 職人歴15年

 

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瓦葺き職人 

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幼い頃に美しい曲線を描いたお寺の瓦屋根に心惹かれてこの世界に入りました。新築住宅の瓦葺きやガルバリウム鋼板など金属屋根の工事、神社仏閣の屋根葺き替えなどを手がけています。瓦葺きは3~4日で終わる仕事ですが、自分の家の屋根だと思ってきれいに着実に葺くことを心がけています。伝統的な和瓦や洋瓦、スレート瓦など、あらゆる瓦葺きのニーズに高い技術で対応できるよう、常に進化しながら技能を高め、日本の気候風土に合った歴史ある瓦文化を後世に伝えていきたいと思っています。

株式会社松山瓦商店 代表取締役社長 松山 孝雄さん 職人歴26年

 

 

 

外壁工事が完了したら足場を解体し、外構工事を行う。室内はクロスや珪藻土、漆喰を塗るなどの壁を仕上げたり、玄関の床やポーチなどタイルを施工する箇所にタイルを貼る。建具や畳、家具なども設置する。工事の際に出た廃棄物は産業廃棄物処理業者によって処分する。

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左官

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ものを作ることが好きで工業系の高校に入学し、学校で左官の仕事体験をしたときが楽しくてこの仕事をやってみたいと思いました。外壁や内装の壁にコテを使って漆喰や珪藻土などの壁材を塗るのが仕事ですが、素早く塗らないと乾いてしまうので手際の良さが求められるし、どの順序で塗れば早く仕上げられるかを自分で考えることも大切になってきます。女性の左官はまだ珍しく、お施主様からの「応援してるよ」という言葉は大きな励みになります。漆喰など塗るのが難しい壁材を手早くきれいに塗れるようになって、高校時代に3級に合格した左官の検定試験で2級や1級にも挑戦したいし、いずれは一人で家1軒の内装の壁を全部仕上げられるくらいまで成長したいです。

有限会社藤田左官工業 北川 鈴眞さん 職人歴2年(新卒)

 

 

内装工事が完了すると、美装屋が床や建具などを覆っていた養生材を外し、家中を清掃する。最後に完了検査を行い竣工。お施主様へ引渡しとなる。引渡しから1カ月以内に土地家屋調査士が表題登記を行い、次に司法書士に依頼して所有権保存登記を行う。

 

 

とことん打ち合わせ

着工してからも必要であれば打ち合わせを重ね、“本物の注文住宅”を叶えてくれる。また、職人やメーカー担当者とのコミュニケーションも大切にしているので、家づくりに関わるさまざまな人の思いが
こもった住まいが完成する。

大工の技が光る造作家具

キッチンカウンターやスタディーデスク、TVボードや収納など、その家族にあわせた家具を造作してくれる。造作家具は意匠性があるだけでなく、地震が起きた際にも倒れることがないので安心感もある。

素材へのこだわり

木の家を建てる上で大切な木材に漆喰や珪藻土、また断熱材に至るまで、工務店各社が自社の家づくりに合わせた素材を厳選している。木材においては、お施主様と市場に原木を見に行ったり、ダイニングテーブルなどに使用する一枚板を一緒に選んでくれる工務店も。それ以外にも、予算に合わせてコストパフォーマンスの良い素材の提案もしてくれる。

 

家づくりの工程、品質、安全、予算を一括して管理し、さまざまな業種の職人が現場で効率よく仕事ができるように段取りを組んだり、仕上がりのチェック
を行う現場監督。良い家を建てるための苦労ややりがい、家づくりに寄せる思いなどを聞いてみた。

職人が快く仕事ができるよう現場を滞りなく動かすのが使命

塩田現場監督とは、かっこよく言えばオーケストラの指揮者みたいなものでしょうか。各楽器の良さを引き出しながら演奏者をまとめる役割。家づくりの仕事が分業化している中で、お施主様の要望や
設計者の意図、職人の気持ちも分からないといけないということで、なかなか大変な仕事だと思いますよ。全体を取りまとめる小さな工務店みたいなものですよね。”現場代理人“という言葉がありますが、社長の代理人という形で現場を請け負うわけですから、本当に責任のある大事な仕事です。
吉岡:私は以前勤めていたゼネコン時代を含め、30年近く現場監督をしています。現場監督という仕事は苦労が多いですが、やって当たり前、できて当たり前の世界です。木造の場合、基本的には大工さんが主でやっているので、その流れを止めないようにしながら、他の業者が追随して家をつくっていく形です。
塩田:今は、職人同士がうまくコミュニケーションを取りながら現場が進んでいく印象です。昔はそんな感じではなかったので、その辺の苦労は割と少ないと思います。それでもスムーズに現場を流していかないといけないので、その調整役かもしれないですね。

中本:現場監督は、お施主様とも職人さんとも調整をしないといけない。現場で打ち合わせがちゃんとできていなくて、工事が止まりそうなときもあります。でも、もう次の職人が待っているので流れを止めてはいけないから、次に入る業者にちょっと待ってくれといった調整が必要になります。うまくいくときは本当にスムーズで、経験を積めば積むほどやりやすくなりますし、スキルも上がる。ネット環境も整ってきた分、お施主様が持っている情報量が多いので、その要望に対してやることがどんどん増えてきました。そこも対応していかないといけなくなってきています。

現場監督とはオーケストラの指揮者のような役割
藤林:苦労はありますが、案外楽しいんですよね。他の業者さんはそれぞれ専門の仕事を担いますが、僕たちは1から10までいろいろな作業を見られたり1から準備できたりするので、大変だけど楽しい仕事だと思います。大変さの中に楽しさも見い出しつつ、やればやるだけお施主様も喜んでくれるし、こちらがきちんとしていれば職人さんも快く仕事をしてくれる。段取りが悪いとそうはならないので、そこは現場監督の力が試されるところです。

中本:現場用の細かい収まりを描く施工図があるのですが、大工さんと打ち合わせをしてビシッと決まったら気持ちがいいですね。これはあまりお施主様には伝わりにくいところですけれど。
吉岡:自分が楽しかったらもう正解なんですよ。「やって当たり前」と言いましたが、努力して楽しく思えるようになれば最高ですよね。そのためには苦労も必要だと思います。
横山:皆さんがおっしゃったように、僕も楽しくないとやっていられないなと思っていて、おかげさまで結構楽しくさせてもらっています。設計者とお施主様と現場の板挟みになることもありますが、現場をたくさん見られますし、0から100まで見られるのはある意味得な役回りでもあります。僕は現場でコミュニケーションを取ったり、お客様や設計者と一緒にものを作ることが好きだということを、この業界に入ってから再認識できたので、すごくやりがいのある職種だなと感じています。

塩田:現場監督は、職人を動かすこと以外にコスト管理や工程管理もあるし、良い家を求めるお施主様の気持ちも考えないといけない。コストと設計者の意図とのせめぎ合いを調整するのは難しいけど、その中で現場を進めていかないといけないですからね。経営者から「あの人に任せておけば何とかするよ」と思われるほど絶対の信頼を得られるような人こそが、優れた現場監督だと思います。
中本:高いコミュニケーション能力と数字に強いことも求められますよね。
吉岡:私もコミュニケーション能力が一番大切だと思います。それがちゃんとある人は伸びるでしょうし、仕事もちゃんとできるでしょうね。
藤林:若いときは、相手が年上でも信頼関係の上で、その人に向かってダメなものはダメ、良いものは良いと言う度胸も必要。ものをつくれる職人さんを尊敬しているので、リスペクトの思いをもって接すれば、職人さんも真摯に接してくれると思います。

お施主様、設計者、職人の気持ちを大切に

経験と知識を100%生かしてお施主様も自分も後悔のない家に

横山:僕は入社して現場監督となり3年目ですが、現場監督はやっぱりものづくりや建築が好きなことが前提というか、それがこの仕事の楽しさにつながっていると思います。パソコン上で図面を描く仕事以上に、現場で実際に建つものを職人さんたちと一緒に作り上げる仕事はとても魅力的です。
田村:現場では職人さんだけでなく、お施主様ともコミュニケーションを多く取るようにすることで、お互いの相違・ズレをなくし、それが結果的にお施主様の満足につながると考えています。
吉岡:図面を見て、例えば電気のスイッチの位置などで疑問を感じたら、お施主様が現場に来られたときに直接話して変更することがあります。「ここにあると3歩ほど余計に歩かなきゃいけないですが、どうしますか」と。お施主様は広さや距離感などを図面上では想像しにくいですが、私たちは経験上それができるので。

同じ図面でも現場監督の力量次第で家の仕上がりは変わる
藤林:僕は、現場監督は縁の下の力持ちで、お施主様からは見えなくていい存在だと思っています。設計者や大工さん、業者さんたちが褒めてもらえればそれでいい。ただ、モットーとしては何十年も住む家ですから、きちんとつくってあげるために「自分の家だったら」と考えながら、自分の家をつくるイメージをもって仕事をしています。
横山:僕はお施主様との打ち合わせから参加させてもらうことが多く、できるだけお施主様の思いを形にしたいと思っているので、途中での変更も間に合えば現場で対応しています。「現場に迷惑をかけた
くないから変更できません」と思ってしまう人もいますが、実は大工さんに相談すればできることも多々あります。それを「できません」と言ってしまうのは、ちょっとお施主様のためではないなと思うので。
田村:建てた家に長く住んでいただくためには、現場監督の役割って結構大きいのではないかと思っています。実際に手を動かすのは職人さんですが、そのチェックや指示、先ほどの施工図の変更などでどれだけ気を利かせられるか。塩田社長が言われたオーケストラの指揮者でいうと、楽譜が同じでも現場監督の力量によってその音楽の出来は変わってくるんじゃないかと思います。

中本:工程管理、品質管理、現場の安全管理、予算管理という4つの管理を現場監督として行ってきて、だんだんこの経験値が上がると、今度はお施主様に笑顔になってもらえるようにやりくりをするようになる。そこが+αの仕事の部分になりますね。


吉岡:家は一生の買い物なので、生半可なことはできません。図面通りに行う、安全管理を徹底して事故を起こさないなど、最初に言った「やって当たり前」が私はすべてだと思います。
塩田:持っている経験と知識を出し惜しみせず、100%出し切るように一つずつ現場を進めていくことが大事。お施主様がまったく気づいていないことでも「ああすれば良かったな」と今でも後悔することがありますから。
横山:僕は職人さんにもお施主様にも設計者にも信頼される人間になりたいなと思います。そのためには当たり前のことを丁寧にやっていかないといけないし、ごまかさず自分に正直でいることを積み重ねて、人として信頼されるようになりたいです。

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