木と製材と木の家の話
本誌前号(vol.28)では、地域の森を守り、育てられた木を切り出し、木材が市場を経て流通していくまでの取り組みを紹介した。
今号では、環境への意識を高く持って企業活動を行う製材会社を取材。木が持つ魅力や木造の家を建てるメリットを再確認し、実際に木の家で暮らしているお施主様に、住み心地などをインタビュー。これから木の家を建てたいと考えている方へのアドバイスも参考にしてほしい。

【川下】地域工務店(木の家)
ーーーーーーーーーーーーー
本誌掲載ページ▶P8‐9
ーーーーーーーーーーーーーーーー
製材された木材を使って地域工務店が木の家を建築し、安らぎと温もりを感じられる暮らしをお施主様に提供。一般ユーザーの木の家の需要が高まれば、森林を守り育てる川上や流通・加工を担う川中、川下の地元工務店での雇用も生まれ、地域の自然環境と経済がうまく循環していく。

【川中】製材
ーーーーーーーーー
本誌掲載ページ▶P4‐7
ーーーーーーーーーーー
木材市場から調達した木材を建材として使えるように加工する「製材」。これを担うのが製材会社だ。木の皮を剥ぎ、木取りをして乾燥機で乾燥させ、表面を滑らかに整えて選別された建材は、地域工務店などの建築会社に販売される。

【川上】林業
木の家を建てるのに必要な木材の原点は森林。伐採と植林、間伐や枝打ちなどの整備を計画的に行うことで健全な森林が保たれ、健やかな木を建材として調達できる。健全な森林は水を貯える力を持つため、災害を防ぐ役割も担っていて、地域住民の安全を守ることにもつながる。今後、林業の担い手に寄せられる期待はますます大きい。

【川中】木材市場
木材の安定供給に欠かせないのが木材市場。森林から切り出された原木は、まず木材市場に集められる。3~4mの長さに玉切りされた木材は、自動選別機を使いながらキズや曲がり具合によってグレード分けされる。細かく仕分けをし、競りまたは入札にかけられて製材所へと販売されていく。
豊かで心地良いまちと住まいを育んでくれる

地域材にこだわり高品質な木材を生産資源の有効活用で温暖化防止にも貢献
宮迫木材株式会社

住宅の建築において必要不可欠な木材。かつては地元の山から切り出した木で家を建てるのが一般的だったが、戦後になって安価な輸入材の台頭により、国産材の需要は低下。しかし、近年になって国
産材の品質の高さが見直され、地球環境への配慮も叫ばれる今、地球温暖化防止にも寄与する国産材、地域材の活用は今後さらに重要になっていくと考えられる。
そんな中、製材・加工するだけに留まらず、工場から出る廃材や、それらを処理する際に排出される二酸化炭素をできるだけ抑制する取り組みを行っているのが、広島県北部にある製材会社、宮迫木材株式会社だ。質の良い地域材を原料とした柱の製材に注力し、中国5県と四国から集められた原木を1日約1500本製材している。原木はまず皮を剥ぎ、コンピューターによる計測を行って木取りをし、乾燥機に入れてヒノキは約5日間、スギは約1週間かけて高温でしっかりと乾燥させる。その後、乾燥機から出庫して表面を滑らかに仕上げるモルダーという機械に通し、選別して完成に至るというのが大まかな製材の流れだ。
乾燥を行う際、通常は重油を燃やして蒸気をつくり、タービンを回して動力にするが、同社では2003年から木屑焚きボイラーで蒸気を発生させている。その原料となるのが、原木から剥ぎ取った樹皮や、モルダーをかけた時の削りカスなど、工場から出た廃材。これらを高温で燃やして蒸気をつくるため、二酸化炭素の排出量が少なく済み、廃材を燃やした後の灰も、集成材に使われる接着剤のような有害物質を含まないため、有機肥料に活用。製材の過程で出た樹皮やおがくずは牧場に運ばれて牛たちの寝床になり、製品にならないため粉砕されたチップは紙の原料になる。資源を有効活用するとともに、すべてが自然へと還っていくという完全なる循環が実現されていることは、この上なく地球環境に優しい取り組みといえるだろう。
製材会社としての同社の特徴は、他社の製品との差別化を図るために、「乾燥」と「選別」の工程に妥協なく取り組んでいること。木材が持っている水分(=含水率)は季節によって変わってくるため、夏場と冬場で乾燥の条件を変え、一定の品質を維持。その分、時期によっては乾燥に時間がかかるが、必要なランニングコストをしっかりかけることで曲がりも起こさず、安定した品質の高さを実現。仕上げのモルダーに通す前に修正挽き専用の機械に通すことで、寸法の安定性も高いレベルで維持できる。製品はすべてJAS規格をクリアしているが、それとは別に設けられた社内規格はJAS規格以上に厳しい基準だというから驚かされる。
柱の等級はA〜Cの3種類に分けて製材し、その中のA級品はさらに4種類に等級分けを実施。完成した製品は、経験豊富な専門の選別人が2人1組になり、自社基準に応じて一本ずつ4つの面を目視して仕分けをしたものが工務店などに運ばれていく。手間暇を惜しむことなく、高い品質を維持していることで、取引先からは常に高い信頼を得ているという。
広島県工務店協会の塩田崇会長は、「在来工法を用いる工務店としては、より精度の高い製材を使うことで、後々のメンテナンスの負担が軽く、良い家づくりにつながることになる。製材所選びも大切です」と言う。昔は、大工に「柱は曲がるもの」という認識があったため、曲がった柱に合わせて建具を直していたが、今の建具はほとんどが既製品。建具と柱の間に隙間ができてしまうのが工務店として一番困るそうだ。地域に根ざし、長年信頼を積み重ねながらの家づくりを続けている工務店にとっては、宮迫木材のような製材会社の存在は実に心強いことだろう。
家は地域の木材で建てるのが良い
その思いで製材に取り組む

中四国地域の原木市場で買い付けられた原木が毎日運び込まれてくる。樹種や長さ、径級、形状によって分けられ、それぞれ異なる場所に積み上げられて製材を待つ

「木がもつ温もりや安らぎを、住まいづくりで少しでも届けたい」と、宮迫木材株式会社の代表取締役社長を務める宮迫直樹さん

製材された木材は巨大な乾燥機へ。1つの窯で1000本以上を一度に乾燥させることができる


安定した品質を保つため、樹種やサイズ、季節に応じた乾燥を行い、含水率を15%以下まで落とす

新しく導入した全自動蒸気式木材乾燥機「O-MAX」。木屑焚きボイラーで発生させた蒸気を活用

製品にならない木材は細かく刻みチップにし、紙の原料として利用される

工場内で出た木屑を燃料とし、1時間に2.5トンの蒸気を出す木屑焚きボイラー
妥協なき技術力が品質の良い木材を造りだす

高効率な製材を可能にする新型の製材機。オートメーションのため労働災害リスクも軽減

製材された柱は、職人の手で表面を少しずつ削りながら微調整を加えていく

最適な木取りを判断して自動的に製材を行う「ノーマン・ツインバンドソー」

加工した木材の表面を「モルダー」で削って滑らかに仕上げ、規格の寸法に調整していく

柱や土台などは、A級品の中からさらに特等や特一等などに等級分けされている

2人の従業員が木材の両側から材面の4面すべてを目視で検品した後、梱包して出荷される
宮迫木材では、高品質の製品を省人化しつつ量産するため、2022年に新しく製材の機械を導入した。機械の操作やメンテナンス、突発的なトラブルへの対応以外は従業員を必要とせず、省人化することで人手不足の際にも対応でき、従業員の体への負担が大きい重労働を軽減して、労働災害のリスクを減らすことにもつながっている。従来の機械も併用しているが、老朽化もあってこちらも設備の入れ替えを検討しているという。
また、木材を乾燥させるための乾燥機もこの度新しく2台導入した。100℃近い高温で乾燥させることができるだけでなく、木屑焚きボイラーで発生させた蒸気を、配管を通じて送り込んで利用するというのも大きな特徴で、これも資源の有効活用につながっている。タービンを回して発電し、使わなかった電気は電力会社に売電。太陽光発電システムも導入して、工場で使う電力の約1割をまかない、月に数百万円の電気代節約にもつながっているそうだ。二酸化炭素の削減、資源を無駄なく活用して循環させるなど、SDGsが叫ばれるようになる前から独自のアプローチを進めてきた宮迫木材の取り組みは、一つのモデルケースとして今後も注目されていくのではないだろうか。
C O L U M N
地元工務店が手がけたヒノキの香りに包まれる社屋
宮迫木材株式会社では、社屋を建て替えるにあたり、同じ県北に根ざした「しおた工務店」に建築を依頼。すがすがしく心地良い社屋が完成した。

寒冷地に適した石州瓦葺きの美しい屋根と、木の縦格子のアクセントが印象的な新社屋の外観。大きくせり出した深い軒は、夏の直射日光が屋内に差し込むのを遮ってくれる

ヒノキを全面にあしらった社屋内。奥の倉庫や仮眠室とは完全に仕切らないことで常に室内の空気が循環し、温度ムラも生まれない

滑らかで足ざわりの良いヒノキの床は心地良さを増幅させる。FIX窓からの明るさもたっぷり。建具もヒノキで作られている

応接室の壁もヒノキの板張りで仕上げられ、温もりと安らぎを感じさせてくれる
冬の寒さと夏の暑さが厳しかった築50年の社屋の建て替えを検討する中で、宮迫社長が目にしたのが本誌に掲載されていた、しおた工務店が手がけた平屋の家。木を扱う会社ということもあり、この家をベースにしたデザインで社屋を建て替えたいと考え、設計・施工を担当した同社に依頼した。土台や柱などの構造材、天井、床は自社提供のヒノキを全面的に採用。すがすがしい香りも心地良さに拍車をかける。「ヒノキは割れや反りが生じるものですが、当社のヒノキはしっかり乾燥させているため、そうした現象は見られません」と宮迫社長は胸を張る。無垢材の調湿効果や屋根断熱のおかげか、「風通しが良いので空気がよどむことがなく、エアコンを使わなくても夏はとにかく涼しい」と喜ぶ社員はもちろん、訪れた来客からも好評を得ているという。

建築を手がけた塩田社長(左)と宮迫社長(右)。木材の地産地消に対する思いも共有している
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
宮迫木材株式会社
〒728-0202 広島県三次市布野町下布野84-2
TEL:0824-54-2011
https://miyasako-yamami.co.jp
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
木の家住まい手の実感
川下の役割を担う地元工務店が建てる木の家。そこに住むご家族に、さまざまな住宅のカタチがあるなかで、なぜ木の家を建てたのか。木の家の住み心地や暮らしを通して感じた思いを聞いてみた。これか
ら家づくりを考えている人へのヒントにもなる、住まい手の生の声をお届けする。
広島市安佐北区 M様邸
手触りや香りの良い無垢の木にはそれぞれ個性があり、ひとつとして同じものはありません。床や柱、テーブルなどに木を使っていますが、それらを選ぶにあたってはストーリーがあり、愛着も計り知れないものがあります。子どもの成長とともに変わりゆく木の味わいも楽しめる家づくりができ、木の家を建てて本当に良かったです。

▶P20-23実例掲載
安芸高田市 T様邸
夫婦とも木の家で育ち、木の肌触りや心地良さを実感していたので、建てるなら木の家をと思っていました。実際に住んでみて、足触りがとても気持ち良く、スリッパ要らずで暮らしています。日本人は本能的に木の家が落ち着くのではないかと思いますし、自分でも気持ちにゆとりが生まれているように感じます。

▶P24‐27実例掲載
呉市 K様邸
地域産材で建てた家ですが、やはり国産材は木目が美しいと思います。自然の香りがする木のおかげか、梅雨のジメジメ感がなく、室内干しをしてもカラッと乾いて室内の空気も常にすがすがしいです。住み続けることで床にキズやシミがついていくのもいいかな。これも味わいにしながら家と一緒に成長していけると良いですね。

▶P28‐31実例掲載
広島市安佐北区 K様邸
紀州材を使った家で、2歳の息子がいるのでキズなども付きますが、それも味わいになり、私たち家族とこの家の歴史が刻まれていると感じます。まちづくりや公共施設でも木造が注目され、わが家も微力ながら持続可能な社会に向けて貢献できているのかなと思います。日本の家を日本の材料で建てることは安心感にもつながりますね。

▶P32‐35実例掲載
広島市安佐南区 Y様邸
モデルハウスを見て木の家に住みたいと思いました。わが家は構造材に岐阜県産材、内装材には広島県産材を使っていて、床はサラサラ。毎日リラックスしながら暮らしています。木の色の経年変化も楽しめるし、木の香りも良いですね。予算の都合もありますが、後悔のないようにできるだけ木を使った家を建てることをおすすめしたいです。

▶P36‐39実例掲載
広島市佐伯区 T様邸
素足で歩いたときの踏み心地が良く、温かみもあるので床を無垢材にして良かったと日々感じています。家の中でドアを開けた瞬間は、ふわっとした木の香りに癒やされ、床にへこみやキズができても簡単に直せるのも木の家のメリットだと思います。木の家の良さは体感しないと分からないので、ぜひ実際の家を見に行ってほしいです。

▶P40‐43実例掲載
東広島市 U様邸
木をふんだんに使った和風の家に住みたいと考えていました。実際に建ててみると、木の温もりと香りに包まれた最高の住み心地で、今後は木の色合いの変化も楽しみです。地元の木材で家を建てること
は木材産業を活性化でき、地域の気候に合った良い家づくりにもつながると思います。木の家がもつ可能性は無限大ですね。

▶P44‐47実例掲載
広島市安佐南区 H様邸
奥様は子どもの頃ログハウスで暮らしていたので、「住むなら木の家」と決め、県産材や無垢材にこだわった工務店を選びました。構造材や筋交いも無垢の県産材で、地産地消に取り組む姿勢にも共感。空
気がきれいで落ち着くし、子どもたちは床の上で気持ち良さそうにゴロゴロ。キズやシミさえも愛おしく感じています。

▶P48‐51実例掲載
広島市安佐南区 N様邸
共働きで仕事に家事に忙しい毎日を送っているのですが、そんなわが家を支えてくれているのは無垢のヒノキの柱、マツとスギの床です。木のやわらかな手触りと香りは、日々の疲れを癒やし心を穏やかにしてくれます。家族の成長と共に、木の温もりを感じながら無垢材の経年変化を楽しめる木の家は大きな魅力です。

▶P56‐59実例掲載

森と木の話
山から切り出した木が、加工されて家づくりやさまざまなものに活用されることで、日本の豊かな森林は健全に保たれ、地域の環境保全や自然災害防止、経済活性化につながっていく。昔から日本人の
暮らしの中にある森、そして木がもたらす恵みについて、改めて考えてみたい。
![]()
木の家はなぜ心地良いのか
多くの人が木の家に入ってまず感じるのは、木が醸し出す「心地良さ」。近年の研究によって、木の香りや手触りにリラックス効果があることが実証されている。他にも、調湿作用や吸音性能など、木の家で暮らすメリットは実に多い。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

木のやわらかさとあたたかさ
木材はストローを束ねたような構造をしていて、この構造がクッションに似た役割を果たしているため、木の床にはやわらかさがあり、立っていても疲れにくいとされている。さらに、木に触れると
自然の温もりが感じられるのは、このストロー状の部分に空気が入っているため、熱が伝わりにくいからだ。こうした性質をもつ木を使って建てた家で過ごすことは、森林浴に似た癒やし効果が
得られ、ストレスの軽減につながるともいわれている。

木の香り
ほんのりと漂う木の香りには、ストレスを緩和し、心身ともにリラックスさせてくれる効果がある。近年の研究では、血圧を下げる効果や免疫力を高める効果があることも分かってきたという。この
香りの正体は、木が持つ揮発性の物質「フィトンチッド」。除菌・抗菌や酸化防止、消臭など、木の家に暮らす人に多くの有益な効果をもたらしてくれる。快適で長く健やかに暮らしたいと願う人
には、木を多用した家づくりをおすすめしたい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

木の調湿作用
木材は、湿度の高い夏場には大気中に含まれる水分を吸収し、湿度の低い冬場には水分を放出することで湿度を適切に調整してくれる「調湿作用」を持っている。このおかげで、木を使って
建てられた家は室内の湿度を一定に保ち、快適な住空間を実現。湿度の変動が調湿作用によって緩和されるため、エアコンによるエネルギー消費量も低減させることができる。また、結露や
カビの発生を防ぐことにもつながるため、住む人の健康的な暮らしの実現に貢献してくれるのも大きなメリットだ。

木の吸音性能
コンクリートのように質量が大きく硬い壁面だと音の反響も大きく、耳障りになりがちだが、木材は音を吸収するという性能を備えている。木で構成された部屋は、音がいつまでも響かず適度に
反射するため音が聞きやすいといわれ、人の話し声や足音もやわらかく聞こえるように感じられる。これは、木が高音・中音・低音をバランスよく適度に吸収してまろやかにし、人が心地良く感じる
範囲に調整してくれるからだ。こうした性能をもっているため、コンサートホールの壁に木が多く使われているのもうなずける。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
木の家を建てるメリットとは?
住み心地の良さはもちろんのこと、木で家を建てることには他にもさまざまな恩恵がある。木の積極的な活用は森を育み、健やかな森は自然災害から地域を守り、地球環境保護にもつながる。
将来を担う子どもたちの未来も見据えながら、木の家に住む意義を考えてみよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

地球環境を守る
森を構成する樹木は、大気中から取り込んだ二酸化炭素を幹にたくわえながら育つ。そうした樹木を建築や家具に使うことで、長期にわたって炭素を貯蔵することになり、地球温暖化防止に
貢献。若い木であるほど炭素の吸収量が多いため、伐採時期を迎えた木を適切に切って活用し、新たに若い木を植えていくというサイクルを促進することが、二酸化炭素の削減につながっ
ていく。

地域の雇用、地域活性化
木の家を建てたり、木製の家具を購入したりするなど、暮らしの中で木を使うことは、木を育てた人にお金が支払われることになり、木を切り出した後に若い木を植えて、健全な森のサイクルを
守っていくことにも役立てられる。また、森から木を切り出し、運び出すなど林業に携わる人や製材・加工事業者の雇用促進、ひいては地域経済を活性化させることにもつながるため、木を積極
的に使うことの意義は大きい。
![]()
木の軽さと扱いやすさ
鉄などの金属に比べて、木材は軽くて加工しやすい素材。適切な大きさに切ったり削ったりすることで、さまざまなものをつくることができるため、古くから木を使った道具や加工品がつくられてき
たという歴史がある。建築においては、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて、木造建築は自重が軽く、現場での加工も容易にできるというメリットがあり、他の構造に比べて地盤改良や基礎
構造に必要な工事費を低減できる可能性があるのも魅力。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

災害を防ぐ
落ち葉などを食べて土に隙間をつくる虫や微生物のおかげで、森の土はスポンジのように雨水をたくわえて洪水を防ぐ働きをもつ。また、森の樹木は地中に根を張り巡らせて土や石を斜面に
つなぎ止める働きをし、落ち葉は大雨による土砂流出を抑制するなどして土砂災害を防いでくれる。地元の山から木を切り出して家を建てることが少なくなった今、森林の手入れが十分でない
ためにこうした働きが十分にできず、大量降雨による土砂災害を引き起こす恐れもある。森の健全化は地域住民の安全を守るこ
とにもつながるのだ。

地震や火災に強く長持ち
木造建築は地震や火災に弱いと思われがちだが、耐震面においては、耐震設計法の開発によって十分に安全性能を確保することが可能。建物の軽量化で地震の揺れによる被害を軽減でき、条件次第では鉄筋コンクリート造よりも木造の方が耐震性能が高まる場合もある。また、建築に使う木材は火災時に表面だけが燃え、中心まで燃え尽きることなく、燃えにくい木材製品も多く開発されている。防蟻対策など、メンテナンスがしっかりできていれば、世界最古の木造建築である法隆寺五重塔のように十分長持ちする。

木の経年美化
建築に使われる木材、特に自然素材である無垢材は、年月の経過とともに色味や風合いが変化していき、時間が経つほどに味わいが増していくのも大きな魅力。例えば、ヒノキやスギは白っぽ
い見た目から徐々に美しい飴色へと変化していく。古民家や寺社仏閣で多く見られるように、長い年月を経た無垢材がもつ深い味わいは、まさしく経年美化によるものだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
