Hiroshimaken Koumuten Kyoukai
HKK REPORT 広島県工務店協会活動報告 4
石見地方でつくられる「石州瓦」その故郷である江津を訪ねて歴史を学び、魅力に触れた研修会
丸惣の2階建ての工場内では、オートメーション化された大がかりな設備で石州瓦が生産されていく。ここ第1工場では主に和瓦と平板瓦を生産していて、熱を効率良く活用するため、1階に焼成炉、2階に乾燥炉を配置している
石州瓦に精通する梅田賀千氏の説明を受けながら、江津本町の街並みを眺める
石州瓦メーカーである株式会社シバオの担当者から商品説明を受ける株式会社大喜の柿田社長
今回の研修会には塩田会長をはじめ9名が参加。それぞれが、石州瓦についての新たな発見もあったようだ
積雪や凍害などに強く高耐久という機能性の高さから、広島でも寒冷地などで多く採用されている石州瓦。その発祥の地であり、生産メーカーが集まる江津市で、このたび広島県工務店協会は研修会を実施した。
訪れたのは、石州瓦業界最大の生産量と販売規模を誇るメーカー、株式会社丸惣。掘り出された粘土を熟成させるところから工場内で行い、プレス成形して乾燥させ、釉薬をかけて焼成し、検査に至る一連の流れを見学。その後昼食を挟み、石州瓦工業組合の組合員と情報交換を行った。廃瓦を再利用する丸惣をはじめ、軽量防災瓦で特許を取得した株式会社シバオ、無釉薬での製品もつくる株式会社木村窯業所、来待石のみの釉薬と1350℃の焼成温度が特徴の亀谷窯業有限会社が同席。質疑応答では、石州瓦も耐火構造認定番号を取得すればさらに普及するのではないかという意見も出された。
最後に、石州瓦を屋根に葺いたかつての商家が建ち並ぶ歴史ある江津本町と、病院や公営住宅などに石州瓦を使って特色ある街づくりが行われている「江津シビックセンターゾーン」や「江津ひと・まちプラザ パレットごうつ」を見学。参加者は、昔も今も石州瓦が江津市民の暮らしに溶け込んでいることを実感しているようだった。
経年変化を楽しめる石州瓦の魅力を今に伝えてくれる江津の街並みが印象的
近年、建築部材には化学加工された製品が多く使われていますが、なるべく素材そのものを「生かして」「楽しむ」部材は残していきたいもの。瓦はその中の1つで、工程を改めて見てみると職人の技が必要な部材だと感じました。石州瓦の街並みが今も色褪せない風景であり続けるのは、瓦が経年変化を楽しめる素材であることも要因かなと思いました。
IKEHOUSE 代表取締役 池田 芳史
人の手による仕事も欠かせない石州瓦 伝統のモノづくりを守っていく大切さを実感
当社でも寒冷地では石州瓦を採用していますが、つくられていくのを見たのは初めて。オートメーション化はされていてもやはり人の手による仕事もあるのだなと思いました。そして各社さんそれぞれに特徴があることもよく分かりました。工場には想像以上に大がかりな設備が入っていただけに、1度なくなると再建するのは困難。伝統を守っていくことは大切ですね。
株式会社田村建設 代表取締役 田村 篤